税制適格ストックオプションとは、一定の要件を満たしたストックオプションについては、税制上の優遇措置を付与するというものです。通常、ストックオプションについては、権利行使時に課税(役員や従業員の場合は給与所得課税)されます(税制非適格ストックオプション)。しかし、税制適格ストックオプションの場合は、権利行使時には課税されず、権利行使により取得した株式を売却した際に株式譲渡所得として一括して課税されます。
税制適格要件
税制適格要件はつぎのとおりです。
ア 付与対象者が下記の者であること
取締役、執行役及び従業員(監査役、会計参与、会計監査人は対象外)
(議決権の50%超を保有する子会社の取締役、執行役及び従業員も含む)
ただし、大口株主※1及び大口株主の特別関係者※2を除く。
※1大口株主とは
・未上場会社の場合は発行済株式総数の3分の1超を有する者
・上場会社等の場合は発行済株式総数の10分の1超を有する者
このため、一般的に創業者兼社長にストックオプションを付与した場合、税制非適格になることが多いです。ご注意ください。
※2大口株主の特別関係者とは
・大口株主の親族(配偶者、6親等内の血族及び3親等内の姻族)
・大口株主と事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の直系血族
・大口株主の直系血族と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
・大口株主から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者及びその者の直系血族
・大口株主の直系血族から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者
イ 会社法の規定に基づき無償で発行されたものであること
ウ 新株予約権割当契約において次の要件が定められていること
・年間(暦年)権利行使可能額が1,200万円までであること
・譲渡できないこと
・権利行使時の新株の発行又は株式の移転が会社法に定める手続に基づいて行われること
・権利行使可能期間が付与決議の日後2年を経過した日から10年を経過する日までであること
・付与契約締結日(付与決議日ではない)の時価以上の権利行使価額が定められていること
・権利行使により取得した株式について発行会社と証券会社等との間で契約を締結し、当該契約に従い保管の委託又は管理等信託がされること
エ 権利行使時に会社に対して誓約書等の提出をすること
実務上、
1.オーナー社長にストックオプションを付与した結果、税制非適格となる事例
2.権利行使価額が不適当であるため税制非適格となる事例
3.監査役に付与しているため税制非適格となる事例
が非常に多く見受けられます。
もし、既に発行しているストックオプションが上記の税制適格要件を満たしていない場合には、当事務所にご相談下さい。
当事務所では税制適格ストックオプション制度の導入手続を承ります。
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