非上場会社の会計基準に関する懇談会(座長:安藤英義専修大学商学部教授)は8月30日、「非上場会社の会計基準に関する懇談会 報告書」を公表した。これは、日本の会計基準の国際化が進められる中で、非上場会社の実態や特性を踏まえた会計基準の在り方を検討するためのもの。懇談会は今年の3月より計5回開催され、参考人からの意見聴取や意見交換を経て、今回の報告書公表の運びとなった。
報告書では、わが国における制度会計や「中小企業の会計に関する指針」(以下、中小指針)について触れた後、IFRSを既に導入しているイギリス、ドイツ、フランス及び、2011年にIFRS導入を計画している韓国における非上場会社の個別財務諸表に関する会計基準の適用状況の概要についても整理している。
その上で、わが国における、「金融商品取引法の対象となる非上場会社」については、上場会社に用いられる会計基準を基本的には適用することとし、「金融商品取引法適用会社以外の会社法上の大会社」については、今後、上場会社に用いられる会計基準を基礎に、一定の会計処理及び開示の簡略化を検討していくことが適当である、としている。
一方、「金融商品取引法の対象となる非上場会社」及び「金融商品取引法適用会社以外の会社法上の大会社」以外の非上場会社にについては、一定の区分を設け、その区分に該当するものについては、中小指針とは別に新たな会計指針を作成することを提案している。「一定の区分」の区分方法や新たに作成する会計指針の名称については、今後、関係者にて検討されることとなる。
また、現在の中小指針についても平易な表現に改める等見直しを図るとしている。中小指針や、それとは別に新たに策定予定の会計指針については、国際基準の影響を受けない安定的なものにする方針だ。
なお、報告書では、上記の「一定の区分」に将来上場を目指す企業は対象外とする旨明示されている。そのため、上場準備を意識した段階では、中小企業といえども、もはや中小指針や新たな会計指針を適用することはありえない。上場準備イコール上場会社に用いられる会計基準の適用、ひいてはIFRSを意識した体制整備に梶を切らざるを得ないという点は従来通りといえる。