厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」は、9月7日、報告書を取りまとめ、公表した。
報告書では、現行の一般定期健康診断は、適切なメンタルヘルス対策の観点から見て、①診断結果が事業者に通知されること、②事業者においてメンタルヘルス不調に対する理解が十分でない場合には、労働者にとって不利益な取扱いが行われるおそれがあること等の問題があるとした。
そこで、適切な対応が行われるようにするためには、労働者のストレスへの気づきを促すとともに、職場環境の改善につなげる観点から、一般定期健康診断とは別の新たな枠組みを導入することが適当であるとした。
新たな枠組みのポイントとして、4つ提起している。
第一に、一般定期健康診断に併せて、医師が労働者のストレスに関連する症状・不調を確認、医師が必要と認める場合には労働者が医師による面接を受けられる仕組みを導入する。
第二に、医師は、個人情報保護の観点から、労働者のストレスに関連する症状・不調の状況、面接の要否等について事業者に通知しない。
第三に、医師による面接の結果、必要な場合には労働者の同意を得た上で、医師は事業者に対して、時間外労働の制限、作業の転換等の意見を提出する。
第四に、健康保持に必要な措置を超えて、人事・処遇等において不利益な取扱いを行ってはならないとした。たとえば、時間外労働の制限等の措置を講じる場合には、①医師の意見を勘案し、②労働者の了解を得るための話し合いを実施、③当該労働者に対して医師の意見の内容を明示する、といった点が求められるとした。
今回の報告書の内容を踏まえて、労働安全衛生法を含めた関連制度の改正議論が始まる見通しである。企業側としては、対応に苦慮している場合もあると思われるので、新たな制度の具体化の行方に注目したい。