2008年から異常な低迷が続く新規上場数が底打ちした可能性が高まった。
日本の新規上場社数は、2006年の188社をピークに減少を続け、2006年のライブドア事件等をきっかけとする新興市場の株価低迷等を背景に2007年は121社と大幅な減少となった。しかし、121社はという数字は、今から思えば十分に多い数字だったと言える。
2008年は、企業業績低迷に加え、2008年4月1日以降開始事業年度から上場会社に適用となった内部統制報告制度や四半期報告制度に対応できない企業が上場を見合わせたことにより、新規上場会社数は49社へと激減する。これに追い打ちをかけたのが2008年9月のリーマンショックだ。リーマンショックによる株価の大幅な下落や事業環境の激変等により上場を延期、もしくは中止する企業が相次ぎ、2009年の新規上場はわずか19社、2006年の10分の1の水準まで落ち込んだ。
現在でも新規上場市場は低迷下にはあるが、2010年は22社、そして今年2011年は40社程度の新規上場が見込まれており、数字の上では、新規上場企業数は2009年を底に、上昇に転じていることになる。
では、これをもって新規上場数は底打ちしたと言えるのだろうか。業界関係者の意見を聞くと、肯定的な回答がほとんどだ。その最大の理由は、証券取引所のスタンスが大きく変わったということである。最近の取引所を見ると、組織的に新規上場促進に取り組んでいる姿勢は明確だ。新規上場促進=上場審査を緩くすることではないものの、現場にいるIPOコンサルタントからは、「一時期過度に厳しかった労務については、寛容になった」との指摘もある。上場審査が厳しい最中に上場したFOIのケースを見ても、上場審査で一番重きが置かれるべきは業績や将来性であり、そこを見ずにして形式的な内部管理体制上の不備ばかりを指摘する審査では、むしろ上場することが会社の成長の妨げにもなりかねない。
業界関係者によると、「ここ数年のIPO不況で、本来なら既に上場していたはずの会社がまだかなり残っている。取引所の姿勢の変化もあるし、新規上場件数は2015年に向け100社近くまで戻るはず」とのこと。かつてのIPOバブルの再来とは言わないが、IPOを一つの夢として頑張る起業家がたくさん出てくる時代が早晩来てほしいものだ。