IPO準備で対応必至?メンヘル・受動喫煙対策で法改正
2011年11月15日更新
社員数が少ない分一人当たりの業務量も多く、環境の変化も激しいベンチャー企業は精神的に疲弊する社員が出やすいとも言えるが、「ベンチャーだから」では済まされない法改正が、近い将来行われる可能性が高まっている。
政府の労働政策審議会の安全衛生分科会は、10月24日、メンタルヘルス対策や受動喫煙対策の充実・強化などを盛り込んだ労働安全衛生法の改正案を審議、了承した。早ければ今臨時国会に改正法案が提出され、成立すれば、1年以内に施行される見通しである。
法改正を伴うゆえ、違反すれば上場審査にも影響を与えるコンプライアンス問題に直結しかねないだけに、要チェックだ。
改正法案の内容を見ると、まずメンタルヘルス対策として、企業に対し、労働者の精神上の健康状態の状況を把握するため、医師または保健師による検査を義務付けるとともに、労働者側も企業が実施する検査を受ける義務があるとした。
検査結果は、検査した医師または保健師から労働者に通知することとし、労働者本人の同意なしに企業への情報提供することは禁止している。なお、労働者が検査結果を踏まえて面接・指導の申し出を行った場合には、企業側は不利益取り扱いをしてはならないことに加え、面接・指導の結果や医師の意見を聴いた上で必要となれば、労働時間の短縮、配置転換などの措置を講じなければならない。
また、同時に法案に盛り込まれた受動喫煙対策では、企業に対して職場の全面禁煙、空間分煙を義務付ける一方、飲食店など対応困難な職場においては、当分の間、受動喫煙の程度を低減させるために一定の濃度または換気の基準順守の義務付けにとどめることも盛り込んでいる。
法改正に対応するための企業側の体制整備が急がれよう。