投資型クラウドファンディングの制度化に関する議論が進んでいる。議論の焦点は制度を新設すべきかどうかではなく、新設することを前提に、投資家保護と制度普及のバランスをどうやってとるのかというレベルに入っている。
投資型クラウドファンディングを議論しているの金融庁の金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」である。同審議会は9月10日、第4回の会合を開催した。
会合では、まず、慶應義塾大学経済学部川本教授が参考人として、「イノベーション・エコシステムの可能性」の説明を行ったあと、事務局(金融庁総務企画局)からクラウドファンディング関する説明が行われた。
事務局の説明では、投資型クラウドファンディング(インターネットを通じて起業者や事業計画と多数の投資者とを結び付ける小口の投資を前提)の制度設計に際しては、「できるだけ「仲介者」にとって参入が容易であり、かつ、「発行者」にとって負担が少ない制度とすべき」とする一方で、「インターネットを用いて手軽に多数の者から資金を調達できる仕組みであることを踏まえると、詐欺的な行為等に用いられることのないよう、制度的な工夫が必要」としている。そのバランスの置き所が、投資型クラウドファンディングを制度化した場合の成否を左右するといえる。
この点、事務局案では、「契約締結前交付書面」にどの程度書き込むことを求めるかでバランスの調整を図る案が示されている。その上で、インターネットを通じて、小口の投資を集める仲介者については、
・あらたな「業」として括り、その業務の特性や実態に見合った規制を課す
・仲介者の自主規制機関による規制の導入
という規制を導入する見込み。
また、発行者については
・仲介者に、発行者に関する一定の情報をウェブサイトで開示させる
という一方で、
・「募集総額」の制限
・「一人当たり投資額」の制限
・目標募集額制度(目標募集額に達しない場合には資金の提供をしない)の導入
で投資家保護を図る案が示されている。
事務局案では、匿名組合型だけでなく株式型も可能な仕組みを想定しており、規制の緩いVC的な使い方もできそうだ。
(情報提供:日本IPO実務検定協会)
情報提供:上場.com