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繰延資産、支出時に漏れやすい事項とは?
2013年10月01日更新

 株式交付費や社債発行費を負担した期においては、支出時に全額を費用処理(営業外費用)する方法と、繰延資産に計上して分割して費用化(償却)する方法の両方を選択適用することができる。いわゆる会計方針と呼ばれるもので、一度選択した場合、原則として継続して採用し続ける必要がある。

 もし、株式交付費を繰延資産に計上する方法を選択した場合、株式交付のときから3年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却をすることになる。また、社債発行費を繰延資産に計上する方法を選択した場合、社債の償還までの期間にわたり利息法(継続適用を条件に定額法も可)により償却することになる。

 そして、単体財務諸表の(重要な会計方針)には繰延資産の処理方法を注記しなければならない(重要性の乏しいものを除く)。なお、連結財務諸表では(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)において繰延資産の処理方法の注記は不要とされている。

 ここで留意しなければいけないのが、株式交付費や社債発行費について支出時に全額を費用処理した場合でも、(重要な会計方針)において繰延資産の処理方法の注記をしなければならない(財規ガイドライン8の2-4)という点である。繰延資産に計上した場合だけ注記が必要になると誤解している方も多いので、注意したい。

 新株予約権の発行に係る費用についても、資金調達などの財務活動に係るものについては、社債発行費と同様に繰延資産として会計処理をすることができる(3年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却)。ということは、重要性があれば支出時に全額を費用処理した場合でも繰延資産の処理方法に注記する必要が生じることになる。もちろん、「資金調達などの財務活動に係るものかどうか」(企業会計基準委員会実務対応報告第19号「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」3(2))という要件も検討が必要となる。

(情報提供:日本IPO実務検定協会
情報提供:上場.com

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