クラウド・ファンディングの事務局案では、株式型の出口として新グリーンシート銘柄制度の活用も視野に入れている模様だ。9月27日に開催された第5回目の金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」でクラウド・ファンディングの議論が深化しているのでお伝えしたい。
事務局では、クラウド・ファンディングの仲介者の競争を促進することで市場の拡大を図るとい趣旨から、仲介者にとって参入が容易な制度としたい意向である。その観点から、
・「株式型」に係る募集の取扱いは「第1種金商業の特例」
・「匿名組合型」に係る募集の取扱いは「第2種金商業の特例」
として位置付け、業務の特性や実態に応じた業規制を課す案となっている。具体的には
1 財産規制の緩和
(現行法の規制では、資本金について第1種金商業は5,000万円以上、第2種金商業は1,000万円以上とされているが、それを緩和する方針)
2 「発行者」に関する一定の情報を「仲介者」のウェブサイト上で開示させる
(契約締結前交付書面の記載事項の簡素化も図る)
3 自主規制機関による適切な自主規制
となっている。3については日本証券業協会や第二種金融商品取引業協会が想定されている。
なお、「株式型」クラウドファンディングにおいては、反社会的勢力が小口の株式を買い集め、新規・成長企業等の経営に関与してくる可能性を排除するため、株式に一定の譲渡制限を付す案となっている。また、多数の株主が出現することにより、発行者の株主管理コストがかさむおそれがあることから、議決権を制限する種類株式を活用することも一案としている。
さらに「株式型」の場合、「匿名組合型」とは異なり償還期限がないため、換金性が問題になることが考えられる。この点、事務局案では新たなグリーンシート銘柄制度の活用も視野に入れた内容となっている。
(情報提供:日本IPO実務検定協会)
情報提供:上場.com