上場会社の社長が、債務超過回避のため自腹で売掛金の入金を偽装する事態が起きていたことが判明した。粉飾事件の舞台は、名証セントレックスに上場している株式会社NowLoading。同社は3月11日に、過去の決算において不適切な会計処理が行われていたことを公表した。証券取引等監視委員会開示検査課による指摘がきっかけだった。
具体的には、同社は平成25年3月期に環境関連商品の販売による売上及び当該販売にかかる仕入を計上していたものの、「当該販売先の転売の営業が不調に終わったために、当社から販売先への売上の決済ができず、これによって、当該環境商品の製造及び納品も行うことができない事態」となっていた。実態としては仕入・売上を計上できる状態でないにもかかわらず、同社は売上及び仕入を計上していたことから、「当時の監査法人からは、決済代金の確認ができなければ当該取引に係る売上計上は認められない旨を言われていたため、当時の当社の代表取締役が、当該決済に必要な資金を自身で借り入れ、その借入金をもって当該販売先に対する売上債権の回収であるとして決済を完了させておりました」とリリースしている。監査法人の追求を免れるために、社長が自腹で売掛金の入金を偽装していたことになる。なお、現時点においても、当該商品の製造及び納品は行われていない。
これにより、平成25年3月期は売上76,190千円及び当該販売にかかる仕入30,476千円を取消処理するとともに、当該売掛金に対する貸倒引当金繰入額7,200千円を取消処理するとしている。
この結果、同社は平成25年3月期決算が債務超過となり、平成24年3月期から2期連続債務超過となる。また、後任の会計監査人も決定していないことから、提出済みの有価証券報告書等の訂正もできない状況。
セントレックスの上場廃止要件「上場会社がその事業年度の末日において債務超過の状態となった場合において、1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき」の適用が気になるところだ。
(情報提供:日本IPO実務検定協会)
情報提供:上場.com