昨年4月から改正施行された労働契約法の第18条には「通算5年を超えて反復更新された有期契約は、労働者の申し出により無期契約に転換させる」旨が定められており、現行法文上は、これがすべての期間雇用者に例外なく適用されるものとされている。これに関しては、特に経営サイドから見直しを求める声が上げられていたが、このたび労働政策審議会が、この無期転換ルールに特例を定めることを、厚生労働大臣に建議した。
それによれば、特例の対象労働者は「高収入かつ高度な専門的知識・技術・経験を有する者」と「定年後に同一の事業主等に継続雇用される者」の2種類で、具体的には、前者については、企業内の期間限定プロジェクトが完了するまでの期間(ただし10年を上限とする)は無期転換申込権が発生しないこととし、後者については、定年後に同一事業主または特殊関係事業主に引き続いて雇用されている期間は通算契約期間に算入しないこととする。
これらは、雇用期間の上限を原則3年のところ「5年まで可」とする労働基準法第14条第1項の例外規定に準じたものと言える。ただし、1つ目に関しては、相応の高収入が条件となる点(対象労働者の範囲や収入要件等は法案成立後に改めて労政審が検討する予定)、2つ目に関しては、満60歳以上の労働者すべてが対象となるわけではない点が、労働基準法の定めとは異なるので、注意を要する。
また、建議では「この特例は、厚労省が策定する『対象労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針』に沿った対応を取ることができるとして厚労大臣に認定された事業主のみを対象とすべき」としている点も、押さえておかなければならない。
厚労省では、この建議の内容を踏まえ、平成26年通常国会への労働契約法改正法案提出を目指す方針とのことだ。今後の動静を注視したい。
(情報提供:社会保険労務士 神田 一樹)
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