昇給が無くても『月額変更届』が必要に?
2014年07月17日更新
社会保険料の『算定基礎届』の用紙が到着し始めている。提出期限は7月10日まで(もしくは特別に指定された日まで)であるので、早いうちに準備を進めておきたい。
ところで、今年は『算定基礎届』ではなく『月額変更届』を提出するべきケースが頻出しそうなので、注意を要する。
と言うのも、今年は4月に通勤手当を改定した会社も多いと思われるが、通勤手当は“固定的賃金”であるので、時間外手当等の多寡によっては「固定的賃金の変動に伴って標準報酬月額が2等級以上増減した場合」に該当し、その場合は『月額変更届』の提出が必要になるからだ。ここ数年は昇給を見送っていた(=固定的賃金が変動しなかった)ため賃金額がどれだけ変動しようと『算定基礎届』だけ提出すれば良かった会社でも、今回は、昇給が無かったとしても、通勤手当を改定したなら『月額変更届』が必要となる可能性があるのだ。
なお、『算定基礎届』でも『月額変更届』でも算出される標準報酬月額は同じになるので、どちらで提出しても違いは無いと思われがちだが、新たな標準報酬月額の適用時期が異なるのだ。『算定基礎届』ではその年の「9月分」から適用されるところ、4月に固定的賃金の変動があった場合の『月額変更届』では「8月分」からの適用になる。すなわち、それは、「本人の賃金から控除すべき社会保険料額をいつから変更するのか」に影響する話でもある。
これらは労務担当者にとっては基礎的な事項であるはずだが、今年は“うっかりミス”も出そうなので、正しい手続きを再確認してから作業に取り掛かられたい。
(情報提供:社会保険労務士 神田 一樹)
情報提供:上場.com