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裁量労働制における欠勤や遅刻の扱いは?
2014年07月22日更新

  安倍首相が、産業競争力会議で「働いた時間ではなく仕事の成果を評価する制度」を検討するよう指示したことを受けて、労働時間規制に関する議論が喧しくなってきた。

 ところで、既に現行法においても、「裁量労働制」という「働いた時間ではなく仕事の成果を評価する制度」が存在するので、その内容を、ここで改めて確認しておくこととする。

 まず、裁量労働制は、法規上「みなし労働時間制」の1分類であり、1日の労働時間が所定の勤務時間よりも長くても短くても、予め定めた時間を労働したものと「みなす」制度だ。したがって、残業しても残業代を支払わなくてよい代わりに、遅刻や早退があっても賃金控除やその他のペナルティを科すことはできない。ただし、勤怠管理や施設管理の必要性から、始業・終業の時刻を会社に報告させておくことはできるものとされている。

  一方、裁量労働制であっても「欠勤」という概念が無くなるわけではない。この点、労使ともに誤解している向きも多いが、みなし労働時間制は「1日の労働時間を○時間とみなす」ということなのだから、まったく労働しなかった日については「欠勤」として扱うことになるのだ。無論、社外(在宅を含む)での労働を会社が承認することは差し支えない。

  なお、深夜労働や法定休日労働があった場合には割増賃金の支払い義務がある。これが意外な盲点なので、要注意だ。

 また、裁量労働制は専門業務型(デザイナー・コピーライター等)と企画業務型(企画・立案・調査・分析等の業務を行う者)とがあり、専門業務型裁量労働制を導入するには労使協定が、企画業務型裁量労働制を導入するには労使委員会の決議が、それぞれ必要となっている。そして、そのいずれも管轄労働基準監督署へ届け出ておかなければ認められない。

日本型ホワイトカラーエグゼンプション以前に、現行の制度を正しく理解しておきたい。

(情報提供:社会保険労務士 神田 一樹)
情報提供:上場.com

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