上場準備企業に限らず、企業はすべて反社会的勢力との関係を遮断しなければならない。企業でなくとも、役員や従業員といった個人の立場でも関係遮断の必要性は同様である。また、上場企業と言う社会的な公器であれば、その必要性はますます高まる。
一口に関係遮断と言っても、容易なことではない。反社会的勢力は様々な切り口で企業や個人の隙をついて近づき、不当な要求を突きつけるからだ。不当要求をつっぱねるためには、反社会的勢力側の手口や実態を知るのが一番だ。そのためにお勧めなのが、警察庁が先月(2014年11月)公表した、平成26年度「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に関するアンケートの調査結果だ。これは全国の企業10,000社を対象に実施したアンケート調査結果を取りまとめたもの。
これによると、過去5年間に反社会的勢力からの不当要求を受けた経験がある企業の割合は、全体の4.0%(107社)であることがわかった。 不当要求を求めてきた相手方としては「えせ同和」が30.8%と最も多かった。以下、「相手が何者かわからなかった」(28.0%)、「えせ右翼」(25.2%)と続く。反社会的勢力の代表格である「暴力団員」は意外にも14.0%に留まっている。
不当要求行為の内容については、「機関紙、書籍、名簿等の購読を要求」が最多(37.4%)であり、「寄付金、賛助金、会費等を要求」(25.2%)、「因縁を付けて金品や値引きを要求」(23.4%)が続く。
なお、「不当要求の一部に応じた」は19社、「不当要求に全て応じた」が3社あることがわかった。一度不当要求に応じてしまうと継続化しがちであり、被害が長期になればますます解決の道が遠のいてしまう。それは上場への道が遠のくことも意味する。そのような事態にならないよう、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を参考にしながら、万が一に備えた体制づくりが必要になる。
「契約書・取引約款等に暴力団排除条項を盛り込んでいる(または盛り込む予定である)」と答えた企業は9割を超えている。実際に「暴力団排除条項を活用して契約等を解約(解除)した」企業は1割(10.7%)に上り、実効性が期待できるだけに、暴力団排除条項のない契約書・取引約款を使用している企業は早急に取り組むべきと言えよう。
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情報提供:上場.com