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ガバナンス・コードの原案が確定
2015年03月08日更新

  「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」は3月5日、コーポレートガバナンス・コード原案を確定し、公表した。これは、同有識者会議が2014年12月17日から今年の1月23日までの間公表した、パブリックコメント案(以下、パブコメ案)を公表し、寄せられたコメントを反映して、3月5日の会議で最終版として確定したものである。パブコメ案から大きく変更された点はなく、一部の語句修正が行われただけで確定している。今後は、東京証券取引所で5月上旬に、このコード原案を内容に盛り込んだ「コーポレートガバナンス・コード」が制定され、それに合わせて関連する上場規則等の改正も行われる予定だ。

  パブコメ案へのコメントとして、和文の案に80、英文の案に41の計121の意見が個人及び団体から提出された。寄せられたコメントを分類するとおおむね次のとおりとなった。
・コード策定に対する賛成・歓迎の意を明らかにしているもの → 約3分の2
・コード策定に対する反対の意を明らかにしているもの → 数件
・その他(コード策定へのスタンスを示さずにコードの内容について確認を求めるものや、コードの将来的な見直しにコメントするもの等) → 約3分の1

 意見の中には「原則1-4に関して、政策保有目的の持ち合い株式は、下記の観点から、合理的な理由のない限り解消すべきであり、その解消に向けて政府として方針を明確化し、そのために必要な検討とロードマップの作成を行っていくべきである」といった規制強化を促すものもあった。これに対して金融庁は「一般に、コーポレートガバナンスの規律と経営判断そのものとは区別して議論すべきであると考えられ、本コード(原案)でも、政策保有株式を巡る課題については、開示の規律を強化することにより、市場との対話を通じて合理的な解決策を見出すことに主眼を置いたアプローチをとっております。こうした観点から、原則1-4は、政策保有に関する方針の開示等を求めているものです。こうした開示の規律のもと、市場との対話を経た上で、結果として政策保有をどうすべきか、は最終的には各上場会社の経営判断であり、その経営判断に対して、更に市場との対話が継続されていくべき事柄であると考えられます」としている。また、「なお、原則1-4は、主要な政策保有について、取締役会がそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを「検証」した上で、「これを反映した保有のねらい・合理性」について、対外的に具体的な説明を行うべきであることを記載しているものであり、「検証」の内容そのものの公開を求めているものではありません。」としている点には留意したい。

 また、中期経営計画が目標未達に終わった場合の企業の説明責任を規定する補充原則4-1②(*)に対して「海外の主要コードでも、中期経営計画に言及するものは存在しない」として、「表現は見直す必要がある」とする意見も寄せられたが、採用されなかった。なお、「補充原則4-1②における「エクスプレイン」を回避するために、「中期経営計画」を別の名称に変更する可能性がある」旨の指摘に対しては、金融庁は「本コード(原案)はプリンシプルベース・アプローチを採用しているため、実質的にみて「中期経営計画」といえる内容のものであれば、その名称に関わらず上記原則の適用がある」と回答しており、実務上の参考にしたいところだ。

 なお、上場会社は、定時株主総会後、遅滞なくコーポレート・ガバナンス報告書を提出する必要があるが、2015年6月以後最初に開催する定時株主総会に限り、コーポレートガバナンス・コード対応部分についての提出は定時株主総会後「遅くとも6か月後まで」という特例が認められることになった。

コーポレートガバナンス・コード原案~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~
パブリックコメントの概要
主なパブリックコメント(和文)の概要及びそれに対する回答

(情報提供:日本IPO実務検定協会
情報提供:上場.com

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