東京証券取引所の市場第一部に上場している会社のうち、社外取締役を選任している会社は9割を超えたことがわかった。東証が6月17日に公表した「東証上場会社における社外取締役の選任状況<速報>」で明らかになった。社外取締役を選任している企業は年々増加傾向にあるものの、9割を越えたのは初めて(2014年は74.3%、2013年は62.3%)。ちなみに社外取締役の中でも独立役員に該当する社外取締役を選任している一部上場企業は84.7%(2014年は61.4%、2013年は46.9%)と、こちらも急増する結果となった。
上場企業は、会社法施行により社外取締役を置いていない場合に事業報告等で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならなくなり、さらに本則市場に上場している企業はコーポレートガバナンス・コードの導入により独立社外取締役を少なくとも2名以上選任するといった原則(原則4-8)をコンプライ(遵守)するかエクスプレイン(遵守できない場合に行う説明)するかの選択を迫られるようになった。(独立)社外取締役を選任する企業の急増には、そういった制度改正が背景にある。
もっとも、2名以上の独立社外取締役を選任する一部上場企業となると46.5%に過ぎず、いまだ半数を超えていない。換言すると、5割以上の一部上場企業で原則4-8をコンプライできないことになる。社外取締役を最低1名選任することが一部上場企業に課された1つ目のステップとすると、独立社外取締役を2名以上選任し、原則4-8をコンプライすることが2つ目のステップである。2つめのステップの手前で半数以上が滞留している状況であり、原則4-8をコンプライする上場企業社数の今後の推移が注目される。
(情報提供:日本IPO実務検定協会)
情報提供:上場.com