株主代表訴訟担保特約のD&O保険料は会社負担でOK
2015年07月30日更新
会社役員賠償責任保険(以下、D&O保険)の保険料のうち、株主代表訴訟担保特約(代表訴訟に敗訴した場合における損害賠償金と争訟費用を担保する特約)部分の保険料は、実務上、役員個人が負担するのが通例だ。これは、株主代表訴訟担保特約部分の保険料を会社が負担してよいかにつき解釈上の争いがあったためであり、保守的に役員個人が負担する実務慣行となっていた。
この実務慣行が大きく変わる可能性がある。なぜなら、経済産業省のコーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会(座長:神田秀樹東京大学大学院法学政治学研究科教授)が7月24日に公表した「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」報告書によると、D&O保険のうち、株主代表訴訟担保特約部分の保険料について、次の条件付きであれば会社が負担しても構わないとしているからだ。
・取締役会が承認すること(利益相反のため)
・以下のいずれかの方法により、社外取締役が監督(1)や監督(2)を行い、適法性や合理性を確保する。
(1) 社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意を得ること
(2) 社外取締役全員の同意を得ること
株主代表訴訟担保特約部分の保険料を役員個人に負担させている会社では、検討の余地大と言える。
(情報提供:日本IPO実務検定協会)
情報提供:上場.com