ストックオプションとは企業が※新株予約権(会社法第2条第21号、会社法第236条)を従業員や役員に対して労務提供又は業務執行の対価として付与することを言います。
※新株予約権
株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利(会社法第2条第21号)
ストックオプションの仕組み
ストックオプションは簡単に言うと「会社の株式を割安な値段で購入できる権利」のことです。例えば自社株を時価にかかわらず10万円(これを行使価格といいます)を払い込むだけで購入できる権利を従業員に与えたとします。自社株の株価が仮に10万円以下であった場合には、市場で購入した方が安いので従業員は権利を行使しません。反対に自社株の株価が10万円を超える場合には権利を行使して10万円で自社株を購入し、市場で売却すれば利益を得ることができます。
つまり、ストックオプションは、
- 従業員が成果を挙げる。
- 会社の業績がアップする。
- 会社の株価も上昇する。
- 権利行使により従業員が利益を得る。
というインセンティブを生み出すための手段として付与します。賞与が金銭によりインセンティブを生み出すのに対して、ストックオプションは株式によりインセンティブを生み出すことから「株式報酬」「株式賞与」と呼ばれることもあります。 以前はストックオプションの付与に商法上の個数制限等がありましたが、現在では自由化されています。
ストックオプションのメリット
資金力の乏しいベンチャー企業では優秀な人材を高額な報酬や給与で報いることが難しく、常に人材難ということも珍しくありません。しかしストックオプションを利用すれば次のようなメリットがあります。
- ・金銭の流出を伴わずに従業員や役員に対して報いることができる。
- ・株価の上昇が権利取得者の利益に直結するため、株価上昇のインセンティブとなる。
- ・税制適格要件を満たすことにより、課税面で有利な扱いを受けることができる。
- ・権利行使期間の制限を設けることにより従業員や役員の退社の防止を図れる。
ストックオプションのデメリット
上記のようにメリットの多いストックオプションですが、一方で次のようなデメリットもあります。
- ・割当数や行使価格のバランスを考慮しないと権利行使後の大量退社を引き起こす可能性がある。
- ・従業員間で割当数に差を設ける場合には不公平感が生じ、社内の軋轢を生む可能性がある。
当事務所ではストックオプション制度の導入手続を承ります。
詳しくはお問い合わせページよりお気軽にご相談下さい。