金融庁に設置された「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」は12月17日、コーポレートガバナンス・コード原案を公表した。1月23日までパブコメを募集している。
これは、アベノミクスの第三の矢である成長戦略(「日本再興戦略」改訂2014)に盛り込まれた施策で、実効的なコー ポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を盛り込んだものとなっている。本コードでは「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法が採用されている。これにより、上場会社は証券取引所の規則を通じて、本コードを順守するか、あるいは順守しない場合はその理由の説明を求められることとなる。もっとも上場会社のうち本則市場(市場第一部及び市場第二部)以外の市場(マザーズやジャスダックなど)に上場する会社に本コードが適用されるかどうかは、東京証券取引所の規則改正に委ねられることになった。
原案には、「独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべき」と記載されており、社外取締役0名の上場会社にはプレッシャーが強まるばかりだ。
また、原案は上場会社に「政策保有株式(持合株式)の保有方針の開示、取締役会におけるリスクとリターンの検証」を求めている。相互に株を保有する“持ち合い”の解消が進むことが予想される。
さらに「1部上場企業の役員はトレーニング方針の開示が必要に」でお伝えしたとおり、原案には会社が「個々の取締役・監査役に適合したトレーニングの機会の提供・斡旋やその費用の支援」を実施し、トレーニングの方針を開示することが盛り込まれている。
本コードを順守しなかった場合の罰則はないが、順守しないことの説明は難しいものが多い。それだけに、順守を余儀なくされる事態が容易に想像される。パブコメ後の確定版の行方(確定は2015年2月頃を予定)がどうなるか、目が離せない。
(情報提供:日本IPO実務検定協会)
情報提供:上場.com