連日、行政刷新会議の事業仕分けにより国の予算のムダが洗い出されていますが、鳩山政権の異常なまでの予算削減姿勢に対して日本証券業協会の安東俊夫会長が記者会見で現行の証券税制の増税へ向けた改正にクギを刺しました。
鳩山政権のムダな予算を排除する姿勢は、当然、現在政府税制調査会で議論されている平成22年度税制改正にもやいばを向けることは間違いありません。前政権が創った減税措置はことごとく見直される可能性があります。
そのため、現行の証券取引に対する優遇措置について、日本証券業協会では危機感を覚えています。とくに、金融商品取引業者等を通じた上場株式等の譲渡に対する10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率については、平成23年分までとされているものを継続・恒久化を求めているだけに、これが見直されるとなると一大事です。
そこで、安東会長は、11月18日のJASDAQプラザ記者会見場で開かれた記者会見で「10%の軽減措置については、既に本年度の税制改正において延長が決定しており、少なくとも今から2年は現状が維持されると考えている。今後、政府税調がどういう場になるのかはっきりわからない中で、仮に改正されるようなことがあれば、株価に影響があるかどうかということであるが、これはもちろんある。各国の状況を見ていると飛躍的に個人投資家が増加するためには税制というもののインパクトがかなり大きい。今の日本の10%税率についても、かなりのことをやっているといえないことはないが、例えばドイツでは非課税にすることで、それまでほとんどいなかった個人の投資家が、全体の20%近くまで拡大したことを考えると、個人投資家にとって、税制はナーバスなものであるということが推測される。 株が上がるとか下がるということではなくて、この国のあり方や資本市場の大切さといった色々な観点から、引き続き重要であろうと考えている」と力説しました。
年末間近となり、通称、住宅ローン控除と呼ばれている住宅借入金等特別控除を駆け込み適用する人が増えていますが、多くの適用要件を満たさなければならないため、利用する人の多くがいくつかの疑問を抱えているようです。
住宅ローン控除は、住宅の購入や増改築で借り入れたお金の年末残高の一定割合を数年間税額控除できるという制度で、所得税の最大の節税策としてもてはやされているものです。いま、駆け込み適用が相次いでいるのは住宅のリフォームに適用できる住宅ローン控除です。平成21年度税制改正により、すでに居住している住宅にしか適用できなかったリフォーム(増改築等)に関する住宅ローン控除が、居住する前に行なったリフォームについても適用できることになりました。したがって、中古の住宅を購入して、ついでにリフォームを行なう人が増えているのです。
ただし、適用要件が数多くあることから、一つでも見落とすと利用できなくなるだけに、多くの人が疑問を抱えたままリフォームを行なっているようです。その疑問のなかで一番集中しているのが、マンションのリフォームです。100万円以上の増改築ならば大丈夫だと思いながらも、実際の増改築の内容について不安を感じている人は少なくないのです。正しくは、単なる壁紙の張り替えや壁の塗装だけのような内装工事の場合は、住宅ローン控除の対象となる増改築等に該当しません。一定の修繕・模様替えを行い、しかも、建築士による証明がなされたものについてだけ、住宅ローン控除の対象となる増改築等に該当します。「一定の修繕・模様替え」とは、具体的には、床の過半の修繕又は模様替えで、例えばフローリング床の貼替えや畳床からフローリング床への貼替えで全床面積の半分以上の工事などをいいます。