今年も国税不服審判所が審判官の募集を始めました。審判官は、税務署や国税局と審査請求人(納税者)との間に立って、公正な第三者として裁決を行なう職務を担います。
国税不服審判所が公募により審判官に民間人を採用するようになったのは、平成19年からです。それまでは、審判官のほとんどが税務署や国税局の税務職員が出向する形で審判官に就いていました。そうした人事に対して税理士会などから、「外見的に国税当局と納税者の間に立って公正な裁決が行なわれているようには見えない」などとの批判が相次ぎ、国税不服審判所では、民間人を審判官に採用することにしたわけです。
今年は、例年よりも募集人数を増やすとともに、勤務地を拡大。国税不服審判所も有能な人材の採用に積極的になっています。具体的な募集要項については、まず審判官の職務内容は「国税不服審判所長に対してされた審査請求事件の調査及び審理のため、個別事件ごとに担当審判官又は参加審判官として、求釈明、質問、検査、証拠収集等を自ら行い、かつ、審査官等へ指示を行うこと」などとされています。応募条件は「弁護士、税理士、公認会計士又は大学の教授若しくは准教授の職にあった経歴を有する者で、国税に関する学識経験を有すること」と少々ハードルが高いようです。募集人員は15名程度で、雇用期間は平成22年7月10日から原則として3年程度とされています。応募期限は平成22年1月18日必着とされていて、書類選考後、面接試験を経て採用される予定です。
事業者向けのエコ減税と呼ばれている“エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却制度”について、店舗兼自宅に対象設備の太陽光発電装置を取り付けた場合の減価償却のしかたで国税庁が注意を呼びかけています。
エコブームで、太陽光発電装置が取り沙汰されていますが、青色申告を行っている個人事業者が、エネルギー需給構造改革推進設備に該当する太陽光発電装置を購入した場合、通常の減価償却の金額にプラスして取得価額7%に相当する金額を特別償却することができます。
ただ、個人事業者の場合、店舗兼自宅で営業しているケースが多く、太陽光発電装置も店舗部分だけでなく自宅でも使用することが十分考えられます。そこで、太陽光発電装置の減価償却の計算に対して国税庁が注意を呼びかけているのです。
税法上、事業に活用する減価償却資産については、定額法など一定の償却方法で計算した金額は、減価償却費としてその年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されることになっています。しかし、その減価償却資産が自宅兼用資産の場合は、減価償却費として計算される金額の全額が必要経費に算入されるわけではありません。「業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合」(事業用割合)に、その部分に相当する金額を必要経費に算入することになっています。それは、特別償却の金額についても同じで、基準取得価額の7%相当額に事業用割合を乗ずることになっています。