国家予算の財源となる税収を左右する政府税制調査会(会長=藤井裕久財務大臣)の初会合が10月8日に開かれ、すでに出揃っている各省庁からの税制改正要望の全面見直しが決定されました。
鳩山政権が組織した政府税制調査会は、会長に藤井財務相が就任し、会長代理に原口一博総務大臣と菅直人国家戦略担当大臣が、そして、重要な事項を審議する企画委員会主査に峰崎直樹財務副大臣が起用されています。これまでは、会長はじめ調査会の委員が民間の識者から採用され、財務省が裏で審議の筋書きを立てるという官僚主導でしたが、新たな政府税制調査会は民主党がマニフェストで掲げた政治主導をしっかりと実現しているわけです。
初会合の席上、鳩山由紀夫首相は「マニフェスト(三党連立政権合意書を含む)において実施することとしている税制改正項目について、その詳細を検討すること」などを諮問しました。これにより、民主党がマニフェストで掲げていた「ガソリン税などの暫定税率廃止や特定の業界や企業の税負担を軽減する租税特別措置(租特)の抜本的見直し」が来年度の税制改正で行われることになります。やはり、国民が注目しているのは、ガソリン税などの暫定税率の廃止です。実現すれば、ガソリンは1リットル当たり約25円値下がりするとともに、新車購入時にかかる自動車取得税が4割程度、重量税も6割程度現状より減税となります。
国税庁が「大工、左官、とび職人等に対する所得税の取扱い」を全面リニューアルしました。
大工や左官、とび職人が受け取る報酬に対する現行の所得税の取扱いは、昭和30年前後に定められたものです。そのため、すでに大工などの職人の就労形態が多様化していて、現状にそぐわなくなっています。そこで、国税庁では古い通達をすべて廃止して新たな取扱いを定めることにしました。
具体的には、「報酬の支払者から作業時間を指定されるなど時間的な拘束(業務の性質上当然に存在する拘束を除く)を受けるかどうか」や「まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか」などを基にして事業所得を判定するとしています。
原則として、大工や左官、とび職人が受け取る報酬は、請負契約に基づくものは事業所得で、雇用契約に基づくものは給与所得として課税されることになっています。職人にとっては、事業所得として申告ができれば、仕入れた材料や機材の運搬などにかかった費用を必要経費として落とすことができるので、報酬全額が給与所得となることだけは避けたいものなのです。
ただ、大工や左官などの職人はグループを組んで仕事をこなすことが多く、そのグループの代表者が各職人に報酬を支払い、経費の支払いもその代表者が持つことから、給与所得と判断されるケースも少なくありません。
そのため、これまで国税庁は、「店舗、作業場等を有し常時一般顧客のもとめに応じていると認められる者の受ける報酬は、雇用契約によって受けたことの明らかな個々の報酬を除いては、原則として、事業所得の収入金額とする」としていました。また、従業員を抱えていない“ひとり親方”については、年収が450万円以下の場合、その年収に応じて10%から80%までの金額を給与所得として申告することを義務付けていました。
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