民主党の支持母体の日本労働組合総連合会(連合、高木剛会長)の古賀伸明事務局長が9月30日、衆院議員会館に藤井裕久財務相を訪ね、2010年度税制改正に関する要望書を提出しました。
連合は、「すべての働く人の雇用と暮らしを守る」をキャッチフレーズとして、大企業で働くサラリーマンから派遣社員やパートタイマーまで、働く人たちの生活環境改善のために活動している組織で、経営者団体とは相対する団体です。
したがって、連合の来年度税制改正要望では「所得格差の是正」が強く打ち出されています。具体的には、税制の所得再分配機能を強化するよう要請していて、「所得税の最高税率を引き上げて累進性を高める」ことや、「課税最低限に満たない低所得者向けに、給付付き税額控除を検討する」こと、相続税をはじめとする資産課税の強化を求めています。
一方、労働組合に参加している人たちが、税制改正要望の中で最も実現を期待しているものがあります。それは所得税の特定支出控除の拡充です。特定支出控除とは、法定されている特定支出の合計金額が給与所得控除額を超える場合、確定申告によりその超える金額を給与所得控除後の金額から差し引くことができるという制度です。現行の特定支出項目は通勤費、転任のための引っ越し費用、研修費、資格取得費、単身赴任の帰宅旅費の5項目。この支出項目について連合では「職務上の慶弔費・自動車関係費、能力開発のための費用、周辺機器を含めたパソコン購入費、通信費、書籍購入費、労働組合費等を対象項目として追加・拡大する」ことを要望しています。
鳩山政権が掲げた政治主導を実現するため、経済産業省が政務三役会議で、2010年度税制改正の要望内容を一般から募集することを決めました。これを受け、経済産業省はホームページで募集要項を公開しています。
経済産業省の毎年の税制改正要望の取りまとめ作業は、これまで経済団体などの意見を参考に要望事項を決めていました。つまり、官僚と経済界との都合を優先した税制改正要望が作られてきたわけです。
そこで、政治主導の実現を目指し、政務三役会が要望を受け付ける間口を広げることで作業の透明性を高めたといわれています。
具体的な要望の提出方法については、電子メールと書面だけで受け付け、電話やFAXでの意見提出には対応していません。留意事項としては、「経済産業政策に関わる税制改正要望」について提出することを大前提としています。さらに、提出に際しては、要望項目ごとに「要望者名」「税目(所得税・法人税等 国税・地方税の別も含めて)」「要望名」「要望の内容」「要望目的・期待する効果」を記述する必要があります。
要望受付期間は、今年10月14日18時必着とされています。ただし、ヒアリングを希望する人は今年10月8日18時必着とされているので注意が必要です。
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