政府税制調査会(首相の諮問機関、香西泰会長)が、今年6月9日から2週間にわたって各委員が行なった海外調査の報告書を公表しました。アメリカについては、「給付付き税額控除」で起きている問題がつぶさに報告されています。
この春、政府が国民一人ひとりに給付した定額給付金の発想元となったのがアメリカなどで制度化されている所得税の「給付付き税額控除」です。同控除制度について日本では、平成21年度税制改正法の附則で「検討すること」とされたことから、政府税調では今回の海外調査の課題のひとつとしていました。
このほど公表された報告書では、アメリカで施行されている「給付付き税額控除」について、まず、勤労所得税額控除・児童税額控除として制度化されていて「1970年代以降に、低所得者の社会保障税の負担増の軽減や、中所得者の子育て支援を目的として導入され、原則として、所得税の確定申告に際して、税額から控除し、控除しきれない部分は給付している(年1回)」と仕組みを解説。「内国歳入庁においては、社会保障番号(SSN)を通じた所得情報のマッチング等を行っているが、適用要件が複雑であり、なお確認できない情報がある等のため発生している過誤支給・不正受給(支給額の23-28%)について給付前の段階で防止すること等が課題とされている」と税の執行現場で起きている問題点を指摘しています。
そして、その過誤支給や不正受給について「現在、勤労所得税額控除の適用数の約70%が代行業者を通じて申請されているところ、一部の代行業者が積極的に不正申請を行っていたことを内国歳入庁が把握している」と説明。対処法として「代行業には、免許・登録制の導入等の規制強化策が検討されている」ものの、「代行業者の数が多く、質にもバラつきがあることから、一律に規制するためのルールを作ることは相当難しいのではないか」としています。
8月25日、日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)が、今年6月25日の理事会で決定した「平成22年度・税制改正に関する建議書」を関係官庁に提出しました。
日税連では毎年、税理士法の規定に基づいて財務省、国税庁、総務省、政府税制調査会などに「税制改正の建議」を行っています。同建議は、さすがに税の専門家によるものとあって、各業界団体が行なっている税制改正要望とはひと味違う内容となっています。
このほど関係官庁に提出した「平成22年度・税制改正に関する建議書」については、26項目の税制改正建議項目のほか、「法人税の課税ベース拡大と税率引下げ」、「消費税の改正」、「納税者番号制度の導入」の3項目に対する基本的な考え方や問題意識を表明。 中小零細企業にも関係する税制の見直しを訴えています。
例えば「少額減価償却資産の取得価額基準を引上げること」とした改正要望を行なっていますが、具体的には「少額減価償却資産の損金算入制度における取得価額基準は10万円未満とされ、20万円未満の減価償却資産については3年間にわたって損金算入を行う一括償却資産制度がある。さらに、中小企業者に対しては、平成22年3月までの間、年間の損金算入金額の上限を300万円として取得価額30万円未満の減価償却資産につき取得時に全額損金算入することが認められている。しかし、税制の簡素化の観点から、これらの制度を統合して少額減価償却資産の取得価額基準を30万円未満とすべきである」としています。
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