三井住友フィナンシャルグループのシンクタンク「日本総合研究所(日本総研)」が、エコカー減税などの景気対策により“2010年に入ると個人消費が前年比プラスに復帰する”としたレポートを発表しました。
日本総研がこのほど発表したのは「悪化する所得環境への対応を図る家計~低価格指向と『特別な消費』の底堅さ~」と題するレポートです。目的は「厳しい雇用・所得環境の中で進む家計の低価格指向の強まりを、主な品目別に整理したうえで、個人消費の先行きを展望したもの」とされています。
結論としては「2010年入り後には、資源価格の反騰の影響もあり、物価下落幅は縮小するものの、(1)低価格品シフトが続くこと、(2)雇用・所得環境の悪化ペースが緩やかになること―から、実質消費が前年比プラスに復帰する見込み」だとしています。
これは「厳しい雇用・所得環境の下で、消費者は全体としては低価格指向を強めているものの、変化は一様ではなく、日常的な分野での低価格化を進める一方で、支出頻度の低い特別な分野や充実した購入インセンティブのある分野では、単価の高い思い切った支出が持続。支出頻度に応じメリハリをつけた予算配分は、限られた収入の中で消費全体の満足度を高めようとする動きがある」ことから導き出したものです。
ただし、「もっとも、2010年度には(1)エコカー減税やエコポイントなどの政策効果は剥落していくこと、(2)雇用・所得環境の本格回復には至らないことから、実質消費の回復ペースは緩やかなものにとどまる見通し。また名目ベースでの前年比マイナス傾向は2010年度いっぱい続く公算」と消極的な見方も示しています。
国が交付する助成金はそもそも国民の税金。フルに活用したいものです。そこで、注目されているのが、農林水産省がスタートさせた「平成21年度食品小売機能高度化促進事業のうちの機能高度化支援事業」です。
少子高齢化により社会構造が激変する中で、ガソリン価格の高騰などで食料供給コストが増加し、地域における食品流通をとりまく情勢は厳しさを増しつつあります。つまり、全国の食品小売店は、消費者ニーズに十分な対応ができない状態に陥っているわけです。
そこで、農水省では、消費者ニーズに対応した食品販売サービスの機能強化や、販売商品の付加価値向上に取り組む地域の食品小売店への支援を通じ、利便性の高い商店街の振興と農林水産業の発展を図ることを目指しています。
具体的には、(1)新しい小売サービスの拡大(例えば、受発注の効率化を図るため新たなPOSレジを導入するなど)と、(2)オリジナル商品の開発や店内飲食などの付加価値向上(例えば、オリジナル商品開発のために最新式のフライヤーなど厨房・加工機器を導入するなど)―、を図るために導入した機材のリース料について一定の割合を、リース事業者を通じて国が助成することにしています。その一定の割合とは、(1)または(2)のみの場合は、初年度のリース料総額の3分の1で、そして、(1)と(2)を組み合わせた場合は、初年度のリース料総額の2分の1とされています。
現在、農水省では事業実施主体となるリース事業者の募集(締切は11月20日)を開始したばかり。中小食品小売事業者は事業実施主体が決まり次第「食品小売機能強化等計画」を提出できるよう、すぐにでも準備に取り掛かりたいものです。
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