さきごろ開催された東京都税制調査会の平成21年度第5回小委員会でのこと。沼尾波子委員(日本大学経済学部教授)が法人への外形標準課税について「適用を拡大する必要がある」とした意見を出し物議を醸しています。
第5回小委員会のテーマは、政府の中期プログラムについて「法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人実効税率の引下げを検討する」とされていることについて、どのように考えるかを検討するものでした。
沼尾委員は、先進諸国の企業の法人所得税と社会保険料雇用者負担を足したものを、GDP(国内総生産)と対比して「日本はアメリカ、カナダ、イギリスと比べると高い水準だが、フランス、イタリア、スウェーデンなどの国々と比べると高い水準とはいえない」として法人課税の負担軽減に否定的な姿勢を見せました。そして、現在資本金1億円以上の法人に対して地方税の事業税とは別途課税されている外形標準課税について「資本金額を減らして、課税を逃れるケースが出ていることから、適用を拡大する必要性がある。事業税は応益負担原則の考え方に基づき幅広く徴収した上で、支援が必要と判断された場合は補助金を出すという考え方もある」としました。
つまり、不況で資金繰りに苦しんでいる中小企業に対しても外形標準課税を行なうことを提案したわけです。今後、東京都税制調査会の審議の行方に注目したいものです。
「中国・九州北部豪雨」の被害者に向けて、国税庁が課税措置の救済があることをPRしています。
近年、取り沙汰され始めたゲリラ豪雨が、今年も日本を襲いました。被害に遭ったのは中国地方と九州北部地方です。そこで、被害者に対して国税庁が急きょ課税措置の救済手続きがあることを告知しました。
救済手続きは全部で4パターンあり、一つ目は「災害により申告・納税等をその期限までにできないときは、所轄税務署長に申請することにより、その理由のやんだ日から2カ月以内の範囲でその期限が延長される」というものです。二つ目は「災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請することにより、納税の猶予を受けることができる」というもの。そして、三つ目は「災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、(1)確定申告で所得税法に定める雑損控除の方法、(2)災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部または一部を軽減することができる」としています。
事業者が注目したいのは四つ目の消費税に関するもので「災害により被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、または適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署長に申請しその承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、または適用をやめることができる」としているものです。消費税は預かり金的な性質があるので、税務署も監視の目を光らせているだけにこの手続きは無視できないものがあります。
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