国税庁が「平成20年度における国税電子申告・納税システム(e-Tax)のアンケート」の実施結果を公表しました。それによると、事前準備に手間や費用がかかることが利用に踏み切れない主な理由となっています。
今回のアンケート調査は、国税庁が今年2月から5月にかけて、e-Taxの利用者や今後利用することを検討している人を対象に実施したものです。8,678件(前年度は10,837件)の回答があり、その内訳は給与所得者が45.6%、年金受給者が21.9%、個人事業主16.6%で計84%が個人でした。そのため、「e-Taxで利用した手続きは何か」とする質問では、所得税の申告(5,146件)がトップでした。
e-Tax利用者に対して「利用しようと思った理由」を尋ねたところ、「税務署または金融機関に行く必要が無い」(4,054件)がトップで、次いで「閉庁時間でも申告等の提出ができる」(3,447件)、3番目が「電子証明書等特別控除(電子申告控除)を受けるため」(2,956件)となっています。一方、e-Taxを利用していない人に対して「利用していない理由」を聞いたところ、「電子証明書等の取得に手間や費用がかかる」が5,240件で、ダントツでトップでした。
改善要望についても数多くの人から「電子証明書の取得に手間がかかる」ことが取り上げられたことから、国税庁は、「電子政府全体として現行の電子署名方式とは別の新たな仕組みについて検討しており、新たな仕組みが確立された場合は、当庁としても納税者の利便性向上を図るため導入に向け検討を行う」と回答しています。
このほど国税庁が、平成21年度税制改正で創設された「非上場株式の相続税80%納税猶予の制度」に関する取扱いを「租税特別措置法通達」の一部を改正する形で公開しました。
非上場株式の相続税80%納税猶予制度は、政府が中小企業の事業承継支援策のひとつとして平成21年度税制改正で創設したものです。相続税は現金一括納付が原則となっているため、中小企業のオーナー社長の遺産の大半が自社株の場合、それを処分して相続税を納めるしかなく、事業承継が不可能になるケースが相次いでいました。こうした相続税負担を緩和するために同納税猶予制度が導入されたわけです。
国税庁では今回、租税特別措置法通達を改正して、同納税猶予制度に関する取扱いを新たに盛り込んだわけですが、例えば、税制改正により租税特別措置法に「非上場株式の贈与税を全額納税猶予する制度」が新設されています。そして、同制度の条文には「贈与税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、当該贈与者(社長)の死亡の日まで、その納税を猶予する」とされています。
これについて、今回の改正通達では「特例受贈非上場株式等の贈与に係る贈与税についての期限後申告、修正申告又は更正に係る税額について適用がないことに留意する。 ただし、修正申告又は更正があった場合で、当該修正申告又は更正が期限内申告において同項の規定の適用を受けた特例受贈非上場株式等の評価又は税額計算の誤りのみに基づいてされるときにおける当該修正申告又は更正により納付すべき贈与税額(附帯税を除く)については、当初から同項の規定の適用があることとして取り扱う…」などとしています。
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