このほど名古屋地裁で、福祉車両を装うことで自動車税を免れることをウリにしていた自動車販売会社に対する判決が下され、改めて障害者優遇制度の悪用への自治体の対応策がクローズアップされています。
福祉車両を装い顧客に自動車税などを不正に減免させたとして、地方税法違反の罪に問われた愛知県長久手町の自動車販売会社「ベストライン」社長A被告の判決公判が6月17日、名古屋地裁であり、裁判長は懲役2年、執行猶予4年、罰金500万円(求刑懲役2年、罰金500万円)を言い渡しました。
A被告らは約6年前から、身体障害者が利用する予定がない顧客に福祉車両を装った車計約1,000台を販売し、脱税を主導していたとされています。
A被告らの犯罪が明るみになったのは、豊田市の男性会社員ら4人に販売予定のワンボックスカーを福祉車両に改造。2007年11月から2008年3月にかけ、県税事務所に税免除を申請、その後装備を一般車両に戻し、4人分の自動車取得税や自動車税計約52万円を脱税させた容疑で逮捕されたのがきっかけでした。
こうした福祉車両を装って自動車税や自動車取得税を逃れる事件は、ここ数年全国的に発生していることから、例えば、東京都では福祉車両に関する自動車税・自動車取得税の減免措置の適用に当たり、平成21 年度からは、構造要件に加え、居宅サービス計画書及びサービス利用票(ケアプラン)などの一定の書類の提出を求める利用要件などを追加しています。
政府の「経済危機対策」に盛り込まれた住宅取得資金に関する贈与税の500万円の非課税措置がクローズアップされていますが、非課税枠について納税者の間で少々誤解が生じているようです。
経済危機対策に盛り込まれている住宅取得資金に関する贈与税の優遇措置とは、平成21年1月1日に遡って、2年後の平成22年12月31日までの間に、20歳以上の子供が父母や祖父母などから住宅取得に充てるための金銭の贈与を受けた場合に2年間通算で500万円まで贈与税が非課税になるというものです。もちろん、それに基礎控除額の110万円もプラスされます。
ただ、ここへきて一部の納税者が「500万円の非課税枠は、父母両方からだと1,000万円に膨らむ」といった見方をしています。というのも、贈与税の課税制度の特例である相続時精算課税制度において、特別控除枠が財産の贈与者ごとに2,500万円と設定されているからです。
相続時精算課税制度とは、65歳以上の親が20歳以上の子どもに対して相続発生時までに財産を贈与するとき2,500万円の特別控除を適用して贈与税の計算ができるというもので、父と母の両方からの財産の贈与があった場合、総額5,000万円まで贈与税が課税されません。
そのため、今回の500万円の非課税措置についても、父親や母親から500万円ずつ住宅取得資金の贈与税を受けると、1,000万円まで非課税枠が広がると思っている人がいるわけです。これについて国土交通省では「贈与を受ける方の直系尊属から受けたものが対象となる。父母双方及び祖父母からの贈与についても対象とすることができるが、合計で500万円が上限となっている」としています。
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