全国の自治体が、住民税の滞納整理を通じて消費者金融への返済に苦しんでいる市民を救済している実態が、5月27日に東京都福生市の加藤育男市長の定例記者会見で明るみになりました。
福生市は、このほど消費者金融3社に対して、市税の滞納者から差し押さえた「過払い金」の市への支払を求めて提訴しました。
今回の裁判に至った経緯は、市税を滞納していた市民4人に対して同市が財産調査を行った結果、ほかに換価できる財産がなく、貸金業者からの借入の返済を優先していたことを把握したのがきっかけでした。借入れの状況を調べたところ、かなりの過払い金があることわかったことから、調査員は滞納者本人の了解を得て、貸金業者を第三債務者として「過払い金」を差押えました。同市は、すぐに貸金業者に対し、支払い期限を4月27日とした支払催告書を送付しましたが、支払いが履行されなかったため提訴したそうです。
同市の収納課によると「現在多くの地方公共団体が過払い金差押に着手していて、その中で訴えを起こした団体は、当市が把握しているところでは、兵庫県芦屋市ほか10団体(茨城県租税債権管理回収機構、東京国税局、三重県地方税管理回収機構、山口県下関市、羽村市、東村山市、兵庫県相生市及び赤穂市並びに豊岡市)ある。なお、兵庫県芦屋市と羽村市においては勝訴の判決もでている」としています。そして、同市が今回の裁判に勝訴した場合は「市税に充当できる額は3件合わせると約270万円になる。過払い金が滞納額を上回った場合には、還付金として滞納者に返還する」としています。
【訂正】
6月1日のトピックス「大好評の百貨店の『下取りセール』にも関係する税務処理」の記事中、「商品を仕入れる(下取りする)相手が消費税の課税事業者ではない個人となると、仕入税額控除の対象にならない取引となってしまいます」とあるのは誤りです。正しくは「相手が消費税の課税事業者ではない個人の場合、仕入価格(下取り価格)は税込みで区分して仕入控除を行うことになります」でした。お詫びし訂正いたします。
景気低迷の中、個人消費の拡大を促進するため「下取りセール」を行う百貨店や家電量販店が増えています。下取りセールといいながら、なぜか顧客が持ってきた不要品を割引券やポイントに交換しています。
顧客が下取りしてもらおうと持ってくる物は、百貨店の場合、衣類がダントツで多く、家電量販店の場合はパソコンやデジタルカメラといわれています。
そもそも下取りというのは、顧客が購入を決めた商品と同じ種類の物を買い取ることを意味しますが、実際にセールを行っている百貨店などは、顧客が購入する商品に関係なく、顧客が持ってくる不要品を割引券やポイントと交換していて、単なる不要品の引取りに過ぎません。
このように百貨店などが不要品を割引券やポイントに交換するのには理由があります。顧客に対して新たに購入する商品を自由に選べるようにしたという意味合いもあるのですが、じつは、消費税の処理に気を遣っているのです。
百貨店などが行う消費税の処理は、商品の売上げ時に課税した消費税から仕入れ時に課税された消費税を差引く仕入税額控除を行うことになっています。商品の下取りも顧客が購入する商品を決めていない場合は、単純に商品の仕入れと同じことになり、その商品を仕入れる(下取りする)相手が消費税の課税事業者ではない個人となると、仕入税額控除の対象にならない取引となってしまいます。そのため、百貨店などは、その顧客が購入する商品の値引きとして処理できる割引券やポイントに交換しているわけです。
小売業などが売上げを伸ばすイベントを組むときには、必ずといって良いほど税務処理に注意が払われています。
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