金融商品取引業者からの個人向け国債の購入者へ交付するキャンペーン景品の所得税法上の取扱い関する照会に対して、東京国税局が「その景品は一時所得ではなく雑所得にあたる」という回答を出していたことがわかりました。
財務省が売り出している個人向け国債は、1万円から購入ができることから、その販売代理を行なう銀行などの金融商品取引業者の間では、売れ筋商品のひとつとなっています。
そのため代理店間の販売競争も激しく、あの手この手で売り込み合戦が展開されています。このほど東京国税局に文書で問い合わせてきた業者もその代理店のひとつで、個人向け国債を販売するにあたり「新規資金にて100万円以上購入した顧客に対して2,000円以上のキャッシュバックまたはギフトカードを景品として提供する」というキャンペーンを実施。その景品を受け取った顧客は、一時所得で所得税を申告しても大丈夫かを尋ねてきたものです。
福引の懸賞金や競輪・競馬の払戻金は、一時所得とされていることから誰もが一時所得で大丈夫だと思っていましたが、東京国税局の回答は「当該景品の交付金額は、個人向け国債を募集期間内に100万円以上購入し、その購入の多寡に応じて決定されることになるため、当該景品の交付は、当該国債の購入という行為に密接に関連してなされているものと認められる。そうすると、当該景品は、対価性を有していることから、一時所得に該当しない。利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことから、雑所得として取り扱う」としています。
麻生内閣を支える与党の一角、公明党がこのほど公表した「都市農業・新ビジョン試案」がクローズアップされています。生産緑地法で塩漬けされた都市農地を宅地並み課税なしで他者に貸し出すことを認めているからです。
都市農地が誕生したのは、1991年です。政府が生産緑地法を改正し、市街化区域内農地を「宅地化する農地」と「保全する農地(生産緑地)」に区分けしたことが発端でした。三大都市圏の特定市の「宅地化する農地」(特定市街化区域農地)については、固定資産税・都市計画税の宅地並み課税を行い、相続税の納税猶予・免除制度を廃止する一方で、生産緑地となった農地については、30年間の営農を義務付けました。
都市農地をつくった目的は、安全・安心な食料を供給することや緑と潤いのある住環境の形成、災害時の避難場所などに利用することにありましたが、あまりにも厳格だったため、1985年に約18.7万haあった全国の市街化区域内農地が、2007年には約9.3万haとほぼ半減しました。公共性の高い都市農地ですが個人の資産である以上、相続が発生するたびに縮小・分散しているわけです。
そこで、公明党では都市農地について抜本的な対策を講じなければ、一気に農地が減少する危機感を覚え、都市農業振興プロジェクトチームを立ち上げて議論を展開。新たなビジョンへ向けた座長試案をこのほどまとめました。
同試案の中で注目されているのは生産緑地制度の改革で、現在、一団の農地で「500平方メートル以上」とされている生産緑地の指定要件を「300平方メートル以上」に緩和することと、生産緑地を個人以外の経営主体に貸し出した場合には、相続税納税猶予制度を適用できるようにするとした点です。
![]() |
![]() |