減価償却資産に課税される固定資産税について減価率の再チェックを行う事業者が増えています。中部・近畿圏で、課税された固定資産税をめぐり自治体を相手取って争っている業者が勝訴するケースが相次いでいるからです。
4月23日、名古屋市の倉庫会社2社が、同市の課税ミスで固定資産税などを過大に徴収されたとして、同市を相手に約2,800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、名古屋高等裁判所が地裁判決を変更し、「課税処分は違法」として自治体に計約2,700万円の支払を命じる判決を行ないました。裁判長は「名古屋市は、2社が所有する冷凍倉庫を一般の倉庫として評価し、過大な課税徴収をしていた」と指摘。その上で、「倉庫の用途を識別する職務上の注意義務を尽くしていない」と述べて同市の過失を認定しました。
また同日、神戸地方裁判所においても、神戸市の倉庫会社など15社が、倉庫の種類を取り違え固定資産税などを過大に徴収されたとして、神戸市と兵庫県尼崎市に損害賠償を求めた訴訟の判決で、両市に計約5億円の支払いを命じています。判決理由では、冷凍倉庫は経年劣化が早いため、一般の倉庫より固定資産税や都市計画税が安いにもかかわらず両市は誤って一般の倉庫として扱い余分に税金を徴収したとしています。
償却資産に対する固定資産税の評価額は、原則として「前年度の価格×(1-減価率)」で求めます。算式中にある減価率は、耐用年数表(財務省令)に準じて定められているため、自社についてもその減価率の適用誤りなどがなかったかを再確認する事業者が増えています。
新型インフルエンザ発生で北米への出張を取り止める会社が相次いでいますが、そういった会社が支払う旅行会社へのキャンセル料の税務処理がクローズアップされています。
4月28日、世界保健機関(WHO)が豚インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げたことを受けて、外務省が「感染症危険情報」を出し、メキシコへの不要不急の渡航を延期するよう国民に要請しました。さらに、4月30日にはアメリカでも新型インフルエンザの感染者の死亡が確認されたため、北米への出張を取り止める日本国内企業が増えています。
ただ、その出張を取り止める会社の間で問題となっているのが、旅行会社などに支払うキャンセル料です。出発日直前のキャンセルは、前金で支払っている費用の50%から100%がキャンセル料として差引かれるため、会社にとってはこれが経費として計上できなければ大きな痛手となります。
今回の事態を受けて国税当局では「旅行を取り止めたことで発生するキャンセル料は、雑損として損金に算入することができる」としています。ただし、キャンセル料といわれるものの中には、解約に伴う事務手数料としての性格のものと、解約に伴い生じる逸失利益に対する損害賠償金としての性格のものとがあります。原則として、事務手数料は消費税の課税対象ですが、損害賠償金については、消費税は非課税です。したがって、旅行会社などにキャンセル料を支払う場合、消費税は非課税となり、もし誤って消費税を支払ってしまった場合は、返金を求める必要があります。というのも、その誤って支払ってしまった消費税は仕入税額控除の計算上、課税仕入れとして売上げに係る消費税から差引くことができないからです。
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