全国の税務署・国税局が今年6月までの1年間(平成19事務年度)で実施した法人税と消費税の調査状況を国税庁がまとめました。それによると、鉄の高騰が続いたことから、金属を扱う業者に集中的な調査が実施されています。
平成19事務年度において全国の税務署は、大口・悪質な不正計算が想定される法人14万7,000件に対して実地調査を実施しています。そして、実地調査を行った法人のうち10万9,000件から何らかの非違(ミス)を把握。それによる申告漏れ所得金額は1兆6,259億円で、前年度に比べて988億円(5.7%)減少しました。
仮装、隠ぺいによる不正計算を行っていたのは3万2,000件で、その不正発見割合は前年度と同じ21.7%でした。不正脱漏所得金額は4,268億円で、前年度に比べて78億円(1.8%)減少しています。調査による追徴税額は3,916億円で、これも前年度に比べて486億円(11.0%)減少しました。不正発見割合の高い業種は、1位がバー・クラブで、2位がパチンコ、3位はランク外から一挙に現れた再生資源卸売です。リサイクルの名のもと、大儲けをしている業者があることを物語る順位といえます。また、5位に構築用金属製品製造、6位が自動車修理といずれもランク外からの登場で、中国の北京オリンピックを契機に鉄が高騰したことから、税務署がマークしていたことが伺えます。
一方、法人に対して実施された消費税調査は、13万9,000件で、そのうち7万6,000件から何らかのミスを洗い出しています。その追徴税額は668億円で、前年度に比べて54億円(7.5%)減少しました。
政府の追加経済対策に住宅ローン減税の大幅な拡大が盛り込まれ、不動産業界などが色めき立っていますが、実際に同減税措置を利用するサラリーマンの間では、取り扱いに頭を悩ませている人が少なくありません。
景気の悪化から人員整理が始まり、残された社員が人手不足を補うために地方へ転勤を命ぜられるケースはよくある話しです。転勤を命ぜられたサラリーマンの中には、今年マイホームを購入したばかりの人もいて、同年中に転居せざるを得ないケースもあります。そういった人たちが、もし住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を適用していた場合は要注意です。転勤期間が1、2年間で、その後に購入した住宅に再居住することにしていても、住宅ローン減税を再適用することができないからです。
住宅ローン減税の再適用については、一度でも同減税措置を適用していた居住者だけに限り認められています。したがって、今年マイホームを購入して、同年中に転勤先へ転居した場合は、同減税措置の適用要件である「住宅を購入後、その年の12月31日まで引き続き居住用として使っていること」を満たさなくなり、初年度のローン控除が適用できなくなることから、一度も減税措置を適用していないことになります。そのような人については、将来、空き家だった家屋に再居住したとしても、住宅ローン減税を再適用することはできません。
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